オーガニックワインって一体なんなの?を解決!
農薬や添加物の規制の緩さからオーガニック後進国と言われている日本。
しかし、近年ではオーガニックワインという言葉をスーパーやワイン専門店など様々な所で目にするようになってきました。
ここではオーガニックワインとは何か、オーガニックワインをどのように選ぶのかについて解説しています。

実は、フランスワインの20%はオーガニック!
びっくりだね。

フランスはBIO意識が高いハリネズミが多いんだね
オーガニックワインとは何か
ワインは加工品であるため、原料のぶどうだけがオーガニックであっても「オーガニックワイン」とは名乗れません。ぶどう栽培およびワイン醸造において、各認証団体ごとの厳しい基準をクリアしたワインのことを指します。
ぶどうの栽培およびワインの醸造過程において、オーガニックの規定に則り、生産されたワインで公的な認証を取得したものを指します。栽培の化学肥料の使用や遺伝子組み換え、醸造時の化学薬品や添加物などに於いて通常のワインよりも厳しく制限されています。オーガニックワインは環境や人に配慮した農法および製法でワイン作りを行うことを目指しています。

そもそも化学的な農業は悪影響なのか?
下記の点において、悪影響を及ぼす可能性があると言われています。
- 化学物質で土壌の微生物を殺菌することで、土が固い岩盤のような層になり、土壌のサイクルが崩れ、化学肥料を使うという悪循環になる。
- ワイン用のぶどうは通常、果皮を洗わないため、残留農薬がワイン中に混入し、消費者の健康を害してしまう恐れがある。
- 農薬使用者の健康を害してしまう恐れがある。
オーガニックワインは保存料も無添加なの?
実はオーガニックワインの認証を得ているワインも保存料は使われています。
ただし、健康に害がないと規定されている使用量のさらに1/3以下までの使用しか認められていません。

保存料は全く使用しないという試みをしている生産者もいます

クリーンにならないリスクは怖いだろうなあ
保存料の役割は「雑菌の繁殖を抑えること」と「酸化を防ぐこと」です。
どちらもワインには大きな要素であり、防ぐことが出来なかったワインの品質は著しく低下してしまいます。保存料を全く添加しないことも、リスクのひとつではることは理解しておいた方が良いでしょう。
また、オーガニックワインの中には酵母が生きたまま瓶詰めされたものがあり、ワイン中の糖分を使って活動を再開してしまう場合があります。
この場合、ワインの味わいに変化を与えてしまうので、酵母が活動しにくい低温(10℃以下)で保管することが望ましいです。
オーガニックワインのメリット
オーガニックワインのメリットは何と言っても農薬や化学物質の使用量が少ないことです。
保存料(亜硫酸)は濃度が高いと体に害があったり、頭痛を引き起こしたりすると言われています。
(近年では生体アミンが影響を与えていると解釈されています)
また、亜硫酸はアレルギーを引き起こすことも知られています。亜硫酸塩を含む食品や飲料を摂取することで呼吸困難、かゆみや発疹、腹痛、下痢などの反応を示すことがあります。
アレルギーを起こしてしまう方は、オーガニックワインであれば、通常のワインより安心して飲むことが出来ます。
自然派ワイン=オーガニックワインではない
ナチュラルワインや自然派ワインという公的な規定は日本には存在しないことはご存知でしょうか。
足でブドウをつぶしたり、アンフォラ(甕)で醸したりする「自然なワイン作り」であれば自然派ワインやナチュラルワインと呼ばれています。
必ずしも自然派ワインという言葉自体は、減農薬や減化学肥料を担保したものではないということです。
ただし、自然派と呼ばれる多くの作り手は農薬を使用しなかったり、保存料を使用しなかったり、自然に配慮した農法をしています。

どこまで「自然に」作るか…「作る」のは自然なのか…

禅問答みたいになってるよ。
じぶんの好きな作り手のワインを飲もう!
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オーガニックワインの選び方
私たちは、どのようにオーガニックワインかどうかを判断すればよいのでしょうか?
オーガニックワインの判別には、認証団体のマークを参考にすることが最善です。
オーガニックワインの認証団体
Euro leaf (ユーロリーフ)

Euro leaf (ユーロリーフ)は、EUのオーガニック認証マークです。認定された検査機関によってオーガニックであると認定された製品にのみ付けることができ、厳格な生産、加工、輸送、および保管要件を満たしていることを示しています。ロゴを表示できるのは、100% オーガニックの製品、加工製品の場合は少なくとも95%のオーガニック成分が含まれ、残りの5%が厳しい条件を満たしている場合のみです。EUで販売される包装済み有機食品には、このロゴの表示が義務付けられています。
引用元:ビオ・マルシェの宅配
AB(Agriculture Biologique)アグリカルチャービオロジック

AB(Agriculture Biologique)は、フランスが1981年に制定した認証です。ABは「Agriculture Biologique」の略で、「有機農業」という意味。EUにおけるオーガニックの枠組みに加えて、INAO(国立原産地名称研究所)および農業・食料省によって定義された規定があり、少なくとも1年ごとに検査を受けています。AB ロゴは 1985 年から使用され、高い評価を得ていますが、製品への使用は任意です。
引用元:ビオ・マルシェの宅配
ECOCERT(エコセール)

ECOCERT(エコセール・エコサート)は、世界最大クラスのオーガニック認証機関です。1991年にフランスで設立され、上記のユーロリーフや下記のデメテールなど各種の認証を行っています。エコセール自身の認証では、様々なオーガニック製品について、気候と環境保護、土壌肥沃度の保全、生物多様性の保全、自然循環と動物福祉の尊重、化学・合成品の未使用、GMO(遺伝子組換え作物)がないこと、消費者に対する透明なラベル表示などを保証しています。
引用元:ビオ・マルシェの宅配
DEMETER(デメテール)

DEMETER(デメテール・デメター)は、バイオダイナミクス農法で生産されたことを保証するドイツの認証団体です。ルドルフ・シュタイナー博士の農業講座のバイオダイナミクス農法を実践している団体で、世界で最も厳しいオーガニック農法基準ともいわれています。バイオダイナミクスの製品を表す言葉として使用できるのは、DEMETERのみに限られています。バイオダイナミクスに関する規定はもちろん、社会的責任の基準についても提示されています。
引用元:ビオ・マルシェの宅配

各認証団体と亜硫酸塩の添加量

https://www.vinsnaturels.fr/design/visuels/jp_2022_le_vin_naturel_v2.jpg
上図はワインに添加された保存料の図です。
一番左は慣行的なワインであり、右へ移るにつれて厳しい規制の認証になっています。
横並びの数字は(赤ワイン‐白ワイン)のSO2添加量を表しています。
Vins S.A.I.N.Sという認証団体はSO2の添加が一切認められていません。一見、SO2無添加のほうが素晴らしいワインが作れそうに感じるかもしれません。しかし、加入生産者は20にも満たないと言われています。
ワインに対するリスクとのバランスが重要なのかもしれません。

保存料にもいいところがあるんだろうね
おわりに
認証を持つオーガニックワインは農薬使用量や保存料の使用に厳しい規制がかかった安心のワインです。
自分の好きな生産者やワインスタイルを見つけて楽しんでみてはいかがでしょうか。
