【ビオディナミ農法簡単解説】果実の日がわかるビオディナミカレンダーも併せて紹介!

ワインの知識
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ルフレーヴやルロワを始めとする一流生産者から、近年流行りの自然派スタイルのワイン作りまで取り入れられている「ビオディナミ農法」

名前は聞いたことあるけどビオディナミについてよく知らない…という方も多いのではないでしょうか?

今回の記事では

  • ビオディナミとはどんな農法?
  • ビオディナミと有機農法の違い
  • ビオディナミカレンダーとは
  • おすすめのビオディナミ生産者

について紹介しています。

ぜひ最後までご覧くださいね!

ビオディナミ農法とは

ビオディナミはひとつの農法と見なすよりも、ひとつの哲学(あるいは世界観)を農業に応用したために主流の農法とはさまざまな点が異なるようになったもの、と捉えるとわかりやすい。
言い換えればビオディナミ的に農業をするには、ビオディナミ的に考えなくてはならないわけだ。

引用元:ジェイミーグッド/新しいワインの科学

じつはビオディナミ農法は「ある哲学のもと、育まれた農法」なのです。

プレパラート(調合薬)の使用や月の満ち欠け、宇宙のリズムを取り入れるといった独特な農法はこのビオディナミのルーツになる哲学(考え方)に由来しています。

農法なのに哲学が基礎に。

ますます気になりますね。

ビオディナミのルーツ(一説)

ビオディナミのルーツをたどると、オーストリアの科学者で哲学者のルドルフ・シュタイナーに行きつきます。

このルドルフ・シュタイナーは哲学的な方法を用いて「物質世界と精神世界の断絶を埋めること」を生涯の使命としていました。

この使命を達成するためにシュタイナーは「人智学」を提唱しており、晩年には農業に関心を寄せていました。

そして没する1925年の1年前(1924年)に「農業再生のための精神的基礎」と題する全8回の講義を行ったとされています。

この1924年の講義が今日のビオディナミ農法の礎となっています。

ビオディナミ農法の根本にあるのは「農場全体をひとつの生命体系」と見なし、その生命体系を月の満ち欠けや宇宙のリズㇺというさらに大きな枠組みの中に位置づけることだと言われています。

ビオディナミが有機農法であるのは、農場はひとつの生命体であり、化学物質を用いることを嫌います。

さらに、病気はその物事に対処する必要はないと考えます。

もっと大きな根本的な原因があって、それを解決すると病気はおのずと治っていくという考え方に起因していると考えているからです。

具体的にビオディナミと有機農法の違いは何なのでしょうか?

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ビオディナミと有機農法の違い

ビオディナミ農法と有機農法の違いは大きく考えると2つです。

  • 特殊な調合剤を用いること
  • その調合剤の使用のタイミング

この2つです。

それ以外のアプローチはよく似ていますが、ビオディナミにおいては科学的根拠というものを頼りにしていないのも特徴です。

ビオディナミ実践者がよく使う「生命力」も具体的に何かは示されていません。

それでも多くの生産者が実践し、世界的なワインにも用いられている農法なのです。

もちろん、化学的な農薬を使用しないためには益虫やコンパニオンプランツ、カバークロップや植物のホルモンなどを使用したり、キャノピーマネジメントを丁寧に行ったり、科学的な対策も併せて行われています。

ドメーヌ・ルフレーヴの逸話

ワイン商の13人に当主アン・クロード・ルフレーヴが銘柄を伏せて、2種類のワインを注ぎ「どちらが好きか」と尋ねました。

13人中12人が同じワインを「好きだ」と答えました。

このワインの違いは何か?

じつは、どちらもワインの分類でいえば同じだったのです。どちらも1996年のピュリニー・モンラッシェ・プルミエクリュ・クラヴァイヨンでした。ただし、2つは隣り合った別々の畑から収穫したぶどうで作られていました。

ひとつは有機農法の畑、もうひとつはビオディナミ農法の畑です。

12人が選んだのはビオディナミ農法の畑のぶどうで作られたワインでした。

これを機に次の年からドメーヌ・ルフレーヴはすべての畑をビオディナミ農法に切り替えたと言われています。

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ビオディナミにはバイオリズムなカレンダーがある

先述のとおり、ビオディナミには月の満ち欠けや宇宙のリズムなど様々なバイオリズムがあります。

月の満ち欠けは私たちも馴染み深いですが、その他にビオディナミカレンダー(通称)が存在します。

日本で言うところの「六輝」のようなニュアンスです。

ビオディナミカレンダーには「根の日」「葉の日」「花の日」「果実の日」が存在します。

収穫は果実の日に行うなど、作業と相性の良い日が決まっているのです。

そして、このビオディナミカレンダーは飲む側にも影響を与えるという考え方もあります。

果実の日や花の日にワインを飲むとより美味しく感じることが出来るようです。

私も試しましたが、確かに生命力(エネルギー)を感じやすい気がします。(…もちろん科学根拠はありません)

ビオディナミカレンダーを確認できるアプリ

試してみたくても、どうやって果実の日を知ればいいの?という方がほとんどでしょう。

そんなときに便利なビオディナミカレンダーを確認できるアプリがあります。

WHEN WINE TASTES BEST 
(上記はGooglePlayのリンクです)

“A BIODYNAMIC CALENDAR FOR WINE DRINKERS”と書かれているようにビオディナミカレンダー的にいつワインを飲むのがふさわしいのかを教えてくれるアプリです。

タップで拡大

このように時間単位でワインを飲むタイミングを教えてくれます。

リールを回すことで翌日や前日をすぐに確認することが出来たり、weeklyで見ることも出来るのでビオディナミワインを飲むときの参考にしてみるのも面白そうですね。

ワインのエネルギー…

感じて飲んでみるのも悪くないと思います。

「自然派ワイン」はビオディナミではない

よく混同されてしまうのが「自然派ワイン」=「ビオディナミ」だという構図です。

じつはこれは正しくありません。

しかし、自然派ワインだからと言って必ずしもビオディナミで栽培、醸造しているとは限りません。

減農薬であったり、自然な醸造(あまり人為的な介入をしない)などが自然派ワインの魅力のひとつでもあります。

もちろん、自然派ワインの生産者でビオディナミを取り入れているところも多く存在します。だからと言って、必ずしも「ビオディナミ」ではないことは覚えておくとよいでしょう。

ビオディナミワインの選び方

さて、どんなワインを選んだらビオディナミ農法で作られたワインなのか?という疑問もあると思います。

ビオディナミワインを選ぶには、参考となる認証団体が主に2つあります。

ビオディナミは「化学農薬や化学肥料を使わず、生命のリズムを尊重し、畑を整えることでぶどうを健全に育てる」ので自然派ワインと呼べると思います。

  • デメテール(deneter)
  • ビオディヴァン

デメテール(デメター)

世界で最も基準が厳しいともいわれるオーガニック認証の1つ、Demeter(デメター、デメテル)認証。Demeterは、Biodynamic Agriculture(バイオダイナミック農法、ビオディナミ)により生産された農作物、厳しい基準に則して加工された製品にのみ、認証マークをつけることが認められています。特に欧米では、デメター認証を受けた農産物は、高い実績が認められ、高品質であると信頼を得ており、一種のステイタスともなっています。

▽参考:Demeter-International
https://www.demeter.net/

ビオディヴァン

ビオディナミ生産者の組合。

テロワールとビオディナミ栽培が消費者に認知されています。検査等はエコセールに業務委託をしています。

上記の認定団体のワインであればビオディナミワインです。ワインのエチケットやバックラベルに各ロゴマークが入っていますので、ビオディナミワインを選ぶ際の参考にしてくださいね。

おわりに

ビオディナミについてわかりやすく解説してきました。

まだまだ奥が深いので、興味を持った方は専門の書籍を購入してみるのも面白いかもしれませんね。

みなさんがビオディナミワインに出会ったときに「ビオディナミってこんな感じだったなあ」と思い返していただけるとうれしいです。

身近にビオワイン好きや自然派ワイン好きの方がいれば、シェアしてあげるのもおすすめです。

参考

Biodynamic Wine, Explained
ジェイミー・グッド – ワインの科学

この記事を書いた人

千葉県木更津市畑沢にワインショップをOPEN。地元を中心にワイン好きコミュニティを形成。ワイン会やワインセミナーなどを通してワインの魅力を伝えています。
座右の銘は「ワインはロマン」

・JSAソムリエ
・WSETLV3
・世界遺産検定2級
・第一種衛生管理者などなど
現在はWSETDip目指してます。

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