マルキ・ダレム概略
メドック格付け第三級のシャトー・マルキ・ダレム・ベッカーは、1585年に創設された、マルゴーで最も古いシャトーの1つ。生産されるワインのほとんどがフランス、ベルギー、スイスの市場に出回っており、日本で見かけることはあまりありません。見つけたら買うべき、希少価値の高い1本と言われています。
マルキ・ダレム・ベッカーの歴史
シャトー・マルキ・ダレーム・ベッケル(ベッカーやベッケーとの表示も)は、マルゴーで最古のシャトーの一つです。その歴史は、1585年にボルドー議会でアンリ3世の判事であり、顧問であったフランシス・ダレームが地所を創設したことに始まります。そのダレーム侯爵家は、代々騎馬職に奉じていたため、そのワインのラベルには、蹄鉄が描かれ、その上に侯爵家の宝冠が燦然と輝いています。
1616年、ブドウ畑が登場し、葡萄園として初めて登録されました。地所は何世代にもわたってダレーム家によって所有され、引き継がれました。ダレーム家は、16~17世紀においてはボルドー議会ではとても著名でした。
1810年、オランダの商人ベッケルがこの地所を買い、シャトーの名前の後ろに自らの名前を付け、それ以降シャトーはシャトー・マルキ・ダレーム・ベッケルと呼ばれるようになりました。1855年、シャトーはメドック第3級シャトーに格付けされました。1859年には、ルイ8世様式のシャトーが地所に建てられました。
その後、数人の所有者に所有権が移りました。1938年、エドモンド・リッツが購入、1979年には彼の孫のジャン・クロード・ズジェールが経営を引き継ぎ、250樽を納めることができる新しいセラーを建設しました。
2006年にユベール・ペロド氏がシャトーを購入。ユベール・ペロド氏は有名なオイルグループの創設者であり、シャトー・ラベゴルスやラベゴルス・セデのオーナーでもあります。2008年には、彼の娘ナタリーが父から引き継ぎ、以前の栄光を取り戻すべく、ブドウ畑、セラー、マーケットの全面的改修を行っています。2016年からは全面的にオーガニック農法を実施。一部ビオディナミも取り入れています。2010年には発酵槽の全面入替えを行い、2015年には新しいセラーを整えました。また最も大きな変革として2010年以降ファーストラベルのみに専念し、ファーストの品質に満たないものはバルクワインとして販売するという思い切った手法を取っています。
マルキ・ダレム・ベッカーの特徴
シャトーそのものは美しいヴィクトリア朝風の屋敷で、マルゴー村長舎の向かいにあります。その畑は、マルゴー村とスーザン村に合わせて約16haあります。隣接畑は、マレスコ・サン・デグジュペリで、所有者同士は兄弟になります。作付け割合は、メルローが約63%、カベルネ・ソーヴィニョンが約22%、プティ・ヴェルドが約10%、カベルネ・フラン約5%です。樹の平均樹齢は約35年。
1ha当たりの植栽密度は7,500本で、収量は1ha当たり50hlです。収穫は手摘みされ、ステンレスタンクで30℃以内、3週間発酵され、その後オーク樽で18か月熟成されます。新樽比率は60%です。ブレンド比率はヴィンテージによって異なりますが、カベルネ・ソーヴィニョンやメルローが30~70%と高比率です。
ワイン造りの特徴として、マセレーションの期間が比較的長。瓶詰前の濾過処理はほとんどしない。そうして出来上がったワインは「優雅でスタイリッシュな果実味があり、しっかりとした果実味をそなえている。成熟には時間がかかる」と言われています。
生産量が少なく、ほとんど知られていなかったこのシャトーのワインは、日本において入手するのは非常に困難。製品はフランスやスイス、ベルギーの個人客に直接売られることが多いのが理由です。
その他特筆
2017年
カベルネ・ソーヴィニョン63% 、メルロ30% 、プティ・ヴェルド5% 、カベルネ・フラン2%
2018年
カベルネ・ソーヴィニョン63% 、メルロ30% 、プティ・ヴェルド5% 、カベルネ・フラン2%
マルキ・ダレム 2018-パーカーポイント91点獲得。